2025年1月31日 知事記者会見

1 令和7年度当初予算案を発表/「県民生活強靱化2.0」と世界基準の取り組みを推進

知事は1月31日の記者会見で、令和7年度当初予算の概要について発表した。県民生活を直視した「県民生活強靱化2.0」の推進を大前提としながら、国内外から注目される「富士トラム」や「P2Gシステム」「グリーン水素」など各分野の取り組みを〝世界基準〟に引き上げていくと述べた。規模は約5,115億円程度としている。

2月補正での物価高騰対策や来年度の組織再編等の概要についてもあわせて発表した。

○令和7年度 当初予算などについて

(1)富士山の通行料は4000円に

来年度から富士山保全協力金を廃止し、通行料を4千円に引き上げ、安全対策を強化する。昨年の登山規制では弾丸登山や救急搬送が減少したが、軽装登山や駆け込み登山への対応が必要だとし、来年度はゲート閉鎖時間の前倒しや通行予約システムの改良、富士山レンジャーの指導権限強化などの対策を講じていく。

(2)3アップで人口減少ストップ!

若者が「頑張れば報われる」と感じられる社会を構築するため、〝働く人のスキルアップ〟〝企業の収益アップ〟〝賃金アップ〟のスリーアップを目指す。住環境の充実が出生率に影響するとみられることから、住宅取得やリフォーム費用の支援を拡充するとともに、リニア開業を見据え、子育て世帯に高品質な生活環境を提供するための調査・検討も進める。

(3)フリースクール費補助へ/多様化するケアラー

4月から支援情報を一元化したポータルサイトの運用を始める。ケアラーの多様化に対応し、不登校児童・生徒を抱える家庭の負担軽減策としてフリースクールの利用料助成などを行う。今後もケアラー全体の調査結果を踏まえ、的確な対策を立案していく。

(4)避難所改善に向け、備えを進める

能登半島地震の検証を踏まえ、避難所の施設・運営基準の検討を行う。また、高齢者などの要配慮者に福祉的支援を行うDWATの人員の確保などを図る。さらに、災害ボランティアを受け入れるため、県社会福祉協議会に災害ボランティア・福祉支援センターを設置する。南海トラフ地震などの大規模災害時では近隣県と連携が重要で、一般住民も含めた広域避難に関する連携の在り方について議論を進める。

(5)水素社会の実現

水素社会の具体的なイメージを提案していくため、カーボンフリー農業の実証に取り組む。また、水素社会のイメージを国際的な議論につなげるため、富士五湖自然首都圏フォーラムの「グリーン水素コミュニティ・コンソーシアム」で国際シンポジウムを開催し、カリフォルニアやインドなどの海外の代表や水素関連企業を招いて議論を深めていく。さらに、個々の水素関連施策を推進するため新たに「水素社会実現戦略」を策定する。

(6)「選ばれる山梨」を目指した国際交流

国際的な知と人材の交流を進展させるため環境整備を進め、共創のパートナーや移住先として、世界と競争して選ばれるやまなしを目指す。

2月にはインドのウッタル・プラデーシュ州に副知事を派遣し、同州首相の来県や連携強化を議論する。また、インドと交流を持つ関係県と連携し、「日印知事会議」の実施を検討していく。

今年は中国・四川省との友好県省締結40周年であり、民間レベルでの交流を深化させ、相互が利益を実感できる交流につなげる。

2024年11月の訪米時に、2月開催の「地球温暖化対策国際会議」に招待され、グリーン水素の取り組みを紹介するため出席する。

(7)2026年度に全小学校で25人学級を実現

2025年度から小学校5年生に25人学級を拡大し、2026年度には全学年に導入していく。このため、電気事業会計からの繰入金を増額し、必要な教職員給与費を計上する。引き続き子どもたちの可能性を拓くため、持続可能な教育環境の確立に取り組む。

(8)スタートアップ、若手料理人をバックアップ

2025年度は山梨中央銀行とともに「官民連携イノベーションセンター」を設立し、ソーシャルビジネスへの出資を通じて地域課題の解決を支援する。また、富士五湖自然首都圏フォーラムの「社会起業家・先進行政コンソーシアム」の議論を踏まえ、県外・海外の人材の協力を得てプロジェクトを推進する。11月には「スタートアップ支援センター」を設置し、活動支援を強化する。

さらに、地域おこし協力隊制度を活用し、若手料理人の育成と挑戦を支援し、魅力ある飲食店の増加を目指す。

(9)リニア、富士トラム、空港で交通網を進化

リニア中央新幹線開業の効果を最大化するため、富士トラムを県内各地に延伸する「富士トラム・ネットワーク」を構築し、県全体の交通網の抜本的な高度化に向けた検討を進める。富士トラムは、国産化に向けた調査や事業化の準備も進め、引き続き、住民説明会を開催して県民の合意形成を図っていく。

さらに、リニア中央新幹線開業による航空需要を見据え、空港整備の可能性も調査していく。

(10)組織再編で暮らしを全面バックアップ

県民生活部、多様性社会・人材活躍推進局、子育て支援局を再編し、「総合県民支援局」を設置し、生活全般に対する幅広い支援を強化する。新設する「新価値・地域創造推進局」では、地域の魅力を高める重要プロジェクトを戦略的に推進していく。同じく新設する「高度政策推進局」は重要政策の中心的存在として、若手職員も大胆に抜擢していく。

(11)県有資産の収益で教育・介護・人口減対策を充実

県有地など県有資産からの収益を教育や介護、人口減少対策の財源とすることを条例に明記する。県有資産の収益の一部をこれらの施策の安定的な財源とし、施策を加速化させ、県民への還元を図る。

○物価高騰対策で「将来に安心を持てる社会」へ/2月補正予算

再生可能エネルギーや省エネを促進する設備の導入、賃上げ環境の整備をする事業者に対し、財源を重点的に投入する。また、物流業界の業務効率化への支援、農林水産業の生産性向上への支援などを行う。さらに福祉施設などへの光熱費や食費の高騰分に対しても支援を行う。こうした取り組みをすることで、県内経済の安定した利益体質を築き、県民が将来に安心を持てる社会を目指す。

全文をご覧になりたい場合には、こちらからどうぞ
山梨県公式ホームページの会見録      
※会見の翌日以降にアップロードされます。 

関連記事一覧