2023年12月20日 定例記者会見

① 五合目にゲートを新設し、登山者制限へ 富士登山における総合安全確保対策の骨子案を発表

 長崎知事は20日の記者会見で、問題となっている富士登山の弾丸登山や山頂付近の混雑、安全などへの対策について、地元関係者から概ねの方向性が了承されたことから、総合安全確保対策の骨子案を発表した。今後、地元関係者とさらに協議を重ね、最終的な安全確保対策を固めていく。

 骨子案は、①登山道における弾丸登山・混雑対策②下山道における噴石・落石対策③吉田口登山道の再興の3つの柱で、内容は以下の通り。

1.登山道における弾丸登山・混雑対策=規制ゲートの設置

・富士山五合目にゲートを設置し、開山期間中の毎日午後4時から午前2時まで、ゲートを閉鎖し、登山者を規制する。

・1日当たりの登山者が4,000人を超えた場合、午後4時前でもゲートを閉鎖する。*山小屋宿泊者や五合目の観光事業者の案内客は対象外。

・五合目のゲートを通行する際には、富士山保全協力金とは別に通行料を徴収し、登山道の規制や安全確保対策などに充てることを検討する。

・新たにつくる条例で、安全誘導員やガイドに指導権限を与え、迷惑行為を行う登山者に対して強力な指導ができるようにするとともに、団体登山客に対してガイドの同行を求める。

2.下山道における噴石・落石対策=下山道にシェルター設置

・下山道には登山道における山小屋などのような噴石・落石から身を守る施設がないため、シェルターの設置に着手する。

3.吉田口登山道の再興

・富士山信仰を支えた御師文化の再興のための取り組みを進める

・吉田口登山道を整備し、富士登山の魅力の一つとして発信することで、登山者の分散も図る。

② この1年を振り返って 

知事は会見で、今年1年を振り返り、とくに成果があった施策に触れた。知事は「“県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなし”の実現に向け、“ふるさと強靱化”と“開の国”づくりを柱に邁進していく」と語った。

●人口減少危機対策

6月に、全国初となる「人口減少危機突破宣言」を行い、出生率回復に向けた抜本的・集中的取り組みをスタートさせ、7月には、県内市町村・企業トップらとともに「共同宣言」を発表。8月には、政策パッケージ(暫定版)を公表し、10月には、人口減少危機対策本部事務局を設置し、迅速に組織体制を強化した。

●感染症まん延時も物資を備蓄

未知の感染症が今後蔓延した局面に対応できるよう、必要な数量の衛生物資を常に新鮮な状態で確保できる「流通備蓄」の仕組みを新たに構築した。(全国知事会で優秀政策賞を受賞)

●活火山法改正を主導

山梨県が代表幹事を務める「火山防災強化推進 都道県連盟」の活動が身を結び、6月に活火山法の改正が実現。

●25人学級の拡大など子ども教育の充実

 全国の先駆けとなった25人学級を、今年度から小学校3年生までに拡大。教員ら学校側に対しても「文書半減プロジェクト」という思い切った業務改革を推進することにより、子どもたちとのコミュニケーションを充実させるよう促した。子どもたちの自己肯定感や課題解決力の向上につながることに期待したい。

●豊かさ共創の好循環づくりをスタート

働き手がスキルアップし、企業の収益が上がり、賃金も向上する「豊かさ共創の好循環創出」に向け、「やまなしキャリアアップ・ユニバーシティ構想」をまとめた。10月には「豊かさ共創スリーアップ推進協議会」を立ち上げた。

●世界が注目するP2Gシステムが飛躍

 水素社会の実現をめざした山梨県が世界に誇る「やまなしモデルP2Gシステム」の実証サイトがある米倉山に、国内外から3千人近い視察者が訪れた。研究開発ビレッジ「Nesrad(ネスラド)」を3月にオープンさせ、先端研究を進めている。

●全国知事会議を初開催

7月に初めて全国知事会議を開催。少子化・人口減少など山積する課題に挑戦していくことを決意する「山梨宣言」を採択した。

●ベトナム、ブラジルとの関係強化

 ベトナム・クアンビン省と9月に姉妹友好県省を締結。姉妹締結50周年となったブラジル・ミナスジェライス州を8月に訪問し、交流を深化させた。また、鳴沢村の県有林に「国際交流世界の森やまなし」を設け、諸外国との交流を行った。

●富士五湖グローバル・ビレッジ構想を発展

 昨年始動した「富士五湖自然首都圏フォーラム」は、日展や松竹が参画するなど着実に前進し、10月には、世界の国々と手を取り合いながら文化・学術・芸術の中心地をめざす「富士五湖グローバル・ビレッジ構想」が発足した。

●中部横断自動車道の延伸

 7月、中部横断自動車道の長坂―八千穂間のルート案が国から示された。

●「開の国」意識の進展

10月、史上初の“女性”信玄公役として、冨永愛さんを迎えた信玄公祭りが過去最高の動員を記録。11月には「パートナーシップ宣誓制度」を導入した。

●新局面を迎えた県有地問題

山中湖畔県有地の賃貸借をめぐる8月の東京高裁の判決は、賃料改定を行う余地が大いにあることを示唆する内容だった。県は今後、賃料適正化を図るなど、県有地から得られる収益を県民に最大限還元するサイクルの実現に向けて全力で取り組む。

●富士山登山鉄道構想で地元説明会を開催

富士山登山鉄道構想を提案し、11月から地元説明会をスタートさせた。地元の皆さんの意見を踏まえながら、引き続き100年先を見据え、最適解を見いだせるよう議論を進めていく。

全文をご覧になりたい場合には、こちらからどうぞ
山梨県公式ホームページの会見録      
※会見の翌日以降にアップロードされます。 

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