2023年4月3日 定例記者会見
① 令和5年度の始まりに寄せて
長崎知事は3日の記者会見で、令和5年度の始まりにあたって県政の基本的な方針について説明した。
山梨県が置かれている状況については、「先行きの不透明さへの不安感」と「成長発展への期待感」が交錯する不安定な状態だが、「超感染症社会」のビジョンを掲げて進めてきた強靱化の取り組みにより、全国トップクラスの豊かさへと成長を遂げる機会が開かれていると語った。
その実現のための大戦略として「ふるさと強靱化」、「開の国づくり」を推し進め、豊かさを一人ひとりにもれなく届けられるふるさと山梨を創り上げるとした。
取り組みの要点は次のとおり。
▽ふるさと強靱化
1.感染症
・5類引き下げという転換期に円滑に順応できるよう医療体制だけでなく人々の価値観や行動の変化にもきめ細かく目配りをし的確に対応
・グリーンゾーン認証制度のブランド価値を維持しつつ、日常回復と整合の取れた制度となるよう抜本的に見直し
・県CDCはコロナ対応の検証結果を生かしつつ、知見を体系化し社会をシステマチックに動かす司令塔となる「CDC第2ステージ」を目指し、使えるアクションプランの策定など、対応指針の取りまとめを推進
2.自然災害
・台風被災により明らかとなった脆弱性を克服するため、交通や電力供給などの生活インフラを一層強化する
・富士山噴火や水害など、広域災害リスクへのリアルな対策をハード・ソフト両面から構築・強化していく
3.地域経済基盤
・感染症流行や物価高騰などの外的要因にしなやかに対応し、事業継続できる基盤を作る
・県の施策は、一時的な効果にとどまらず企業の経営構造の革新や収益性の改善をもたらすことを目指す
・「人財づくり」を重視し、オンラインで様々な学びの機会を提供する「キャリアアップユニバーシティ構想」で人財を育て、経営の革新を成し遂げ、賃上げにつなげる
4.生活基盤
・介護待機者ゼロの実現により、高齢者福祉増進と介護離職による貧困の恐怖を取り除く
・デジタルの力で距離の制約を受けない医療を実現する「デジタル医療立県」を実現
・障害者が地域で安心して暮らし活躍できる社会環境づくりを進める
・科学的な知見に基づく自殺対策で「自殺リスクの低い社会づくり」を進め、包括的な社会へ移行していく
5.子育て支援
・結婚・妊娠・出産から子育てまで切れ目ない支援で「子育てしやすさ日本一やまなし」に向けた施策を推進
▽開の国づくり
1.交通体系の開化
・リニア開業を見据えた広域ネットワークや地域内道路ネットワークの整備を推進
・新たな人流を創り出す交通体系や空飛ぶクルマなどテクノロジーの実装の可能性を追求
・リニア開業効果の全県波及の可能性を追求するため、空港開設の可能性も検討
・リニア事業全体の進捗を図るべく期成同盟会等で尽力する
2.上質空間の開化
・富士五湖地域で「国内最高のリゾート地」と「最先端の首都圏機能」を融合させた「富士五湖自然首都圏」を創出するため官民協働で取り組む
・富士山の保全活用のあり方について議論を喚起しつつ、富士山登山鉄道構想の検討を加速する
3.多様性を尊重する共生社会への開化
・男女共同参画の推進に向けて、ジェンダーバイアス解消にかかる県民意識レベルの向上を推進する
・性の多様性尊重に向け、差別偏見の撲滅に向けた啓発やパートナーシップ宣誓制度の導入に向けた議論を加速化
・外国籍住民が地域コミュニティの一員として第2のふるさと山梨で安心して暮らし活躍できる温かい社会への転換を図る
4.教育の充実によるこどもの可能性の開花
・少人数学級を中核的な施策とし、さらにきめ細かく教育ニーズへの対応を強化
・教員の一斉授業から児童生徒中心の授業観への転換、生活困窮世帯の子弟の進学率向上を目指す施策、不登校などの困難を抱えるこどもたちのリトライの支援
・25人学級の小学校5年生以上への導入を科学的・専門的に検討
・教員の事務負担の抜本的軽減を大胆に推進
5.地域経済のポテンシャルの開花
・メディカルデバイスコリドーの対象分野の拡大や海外展開など次のフェーズへの進化を図る
・地場産業を、コーポレートブランド「やまなし」に直結する製品群としてブランド力を高め発信を強化する
・県産果実輸出額の飛躍的拡大などの勢いを持続発展させるため、生産・流通・販売の全ての局面で最適な戦略を立て、生産者所得向上に取り組む
・林業人材の育成と、県産木材から富を生み出す体制の強化とビジネスモデルの高度化を進め、持続可能で成長背豊かな産業への進化を促す
・観光については、本格回復する観光需要をしっかりと取り込みつつ、高付加価値化路線を追求
6.文化芸術・スポーツの新たな価値の開花
・文化芸術の新たな価値を拓き「開の国」山梨を形作る主要な因子として成長させるべく、内外のクリエイターの活動支援と価値の創出発信、メタバースプロジェクトなど県立美術館ビジョンの推進、ワイン県の更なる訴求や美食文化の展開による経済効果の獲得などに引き続き取り組む
・スポーツを他産業とも連携して、ビジネスモデルの多様化や収益性の追求による成長産業化にも取り組む
知事は終わりに「6月議会に向けた政策予算の編成や総合計画の策定などを通じて、成果を形にすることにこだわり、豊かさへのロードマップを描いていく。日本社会が経験したことのない新しい豊かさを創造するため、行政は生活者に寄り添ってともに豊かさを築いていく」と語った。
全文をご覧になりたい場合には、こちらからどうぞ
⇒山梨県公式ホームページの会見録
※会見の翌日以降にアップロードされます。