2022年11月24日 定例記者会見
① 12月議会提出予定案件 ~物価高騰と新型コロナへの対策に注力~
知事は24日の定例記者会見で、12月定例県議会に提出する案件を説明した。
補正予算案の規模は73億円余で「物価高騰対策」と「新型コロナ対策」を中心に編成されている。
■物価高騰対策
物価上昇は今後も長期にわたると想定されるため、一時的に価格差を補填する施策ではなく、中長期的に効果が続く支援策を予算計上するとした。
▽低所得世帯向けの緊急生活支援金
・国の給付金対象にならない「均等割のみ課税世帯」を対象に、食料品や光熱費高騰対策として3万円を支給
▽家庭におけるエネルギーコストの削減
・「エアコン」「冷蔵庫」「ガス温水器」「LED照明機器」など、一定の省エネ基準を満たす製品の購入者にキャッシュレスポイントや商品券を付与
▽企業における賃上げの実現に向けた支援
・賃上げ実施企業が行う、人材育成や設備投資などの生産性向上の取り組みに対して、国助成制度の上乗せや対象拡充を実施
・DX研修については、別枠でさらに強力に助成
▽省エネ・再エネ設備導入に向けた助成
・9月補正で創設した、LEDや高効率空調など省エネ設備の導入補助、太陽光パネルなどの再エネ設備の導入補助について、設置完了が来年度になる事業にも適用拡大
・再エネ設備の導入については、申請下限額を100万円に引き下げ
▽「施設園芸」「水産業」への支援
・燃油や飼料高騰の影響を受ける施設園芸と水産業について、生産コスト削減や生産性向上につながる機器や資材の導入を助成
■新型コロナ対策
重点医療機関等での施設整備や通所・訪問系の高齢者・障害者施設等の職員に対する集中的な検査などの経費を予算計上する。
▽医療従事者への応援金
・疲労困憊している医療現場に臨時の応援金を支給
▽重点医療機関の設備整備
・重点医療機関に診療機器や感染防止機器を導入し、診察・治療体制の強化を図る
▽県内経済の安定化・反転攻勢対策
・スタートアップ企業を支援する拠点整備に向けた調査や、インバウンド観光復活に向けた旅行泊への出展を実施
■その他の主要な事業
▽盛土規制に関する基礎調査
・盛土規制法に基づく規制区域の指定に向けた地質等基礎調査の実施
条例案としては、犯罪被害者を社会全体で支える社会づくりをめざす「犯罪被害者等支援条例」などを提出する。
補正予算案や条例を審議する12月定例県議会は12月1日に開会される予定。
予算案のうち「低所得世帯向けの緊急生活支援金」と「医療従事者への応援金」について、知事は「緊急性が高いため開会日の議決をめざす」としている。
② 新型コロナウイルス感染症対策 ~協力要請の改訂延長など~
知事は会見で、今月末までが期限となっていた協力要請を一部改訂し、来年3月末まで延長することを表明した。
改訂のポイントは次のとおり。
・新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えて、インフルエンザ予防接種についても早期の実施を依頼
・新型コロナワクチン接種努力義務の対象となっている6ヶ月以上の乳児、幼児、児童生徒の保護者に対し、ワクチン接種の積極的な検討を依頼
・高齢者施設、障害者施設の従事者に、週3回の抗原定性検査を実施依頼
・各家庭で市販の解熱剤や咳止め、不織布マスク、食料などの備蓄を依頼
知事は「基本的な感染防止対策の徹底はもとより、接種可能な方はできるだけ早期のワクチン接種をお願いしたい」と協力を求めた。
また、新型コロナとインフルエンザの同時流行対策として、次の対策を行うと公表した。
▽臨時発熱外来の開設
・診療体制が手薄になる夜間休日の対策として、28日から山梨大学医学部附属病院に「臨時発熱外来」を開設。開設時間は平日休日とも19時から23時までで、受診には事前の予約が必要。
▽オンライン診療センターの設置
・12月1日から、夜間休日のオンライン診療センターを設置。65歳未満の発熱患者を対象に、平日17時から翌朝9時まで、休日は24時間対応で診療を実施。受診・相談センターに連絡すると、症状に応じて受診可能な機関を紹介。
新型コロナワクチン接種については、大規模接種センターが大変混雑している状況を踏まえて、金曜は開始時間を30分前倒し、土日は終了時間を1時間延長して対応することとした。併せて、12月3日に山梨大学医学部附属病院で、高齢者施設等の従事者や小中高校の教員を対象に600人の接種枠を設けた職域接種も行うとしている。
知事は、令和3年6月から4年7月の罹患者を対象に先月実施した後遺症調査の結果についても言及した。調査では罹患者のうち38%に後遺症を疑われる症状があり、倦怠感や咳・痰などが多く見られた。また、30代から50代で後遺症の発現率が高いことや、ワクチン接種が2回以下の場合と比べて3回以上の場合は日常生活への支障を感じる割合が低いことなど、後遺症の特徴が見えてきたと語った。知事は「受診相談センターで、後遺症に対応できる医療機関を案内する仕組みを構築していきたい。社会全体で後遺症に対する理解を深める必要がある」としている。
③ 美術館メタバースプロジェクト ~メタバースギャラリーをプレオープン~
知事は会見で県立美術館の「メタバースギャラリー」を30日にプレオープンすることを公表した。本県出身の現代美術作家たかくらかずき氏のこれまでの活動の展示ルームでの紹介と、たかくら氏の作品をメタバース内で鑑賞できるというもの。2月末の本格稼働では、VR機器等を用いて臨場感のある鑑賞体験ができる環境を整備し、メタバース内と美術館内でたかくら氏が新たに制作した作品を展示するという。知事は「県立美術館50周年に向け、このメタバースギャラリーがブレイクスルーとなる取り組みを進めていきたい」と意気込みを語った。
④ ふるさと納税返礼品に県産ヒノキの家具などを活用
知事は会見で、県産ヒノキを活用したセミオーダー家具と柱材を、ふるさと納税の新たな返礼品として提供することを公表した。セミオーダー家具は県産ヒノキを用いて県内の材木店や木工作家などによる開発チームが制作したもので、柱材は南部町森林組合の製材工場で加工される製品となっている。知事は「本県の林業・木材産業の活性化に貢献できる返礼品となることを期待する」と述べた。12月1日からふるさと納税サイト「さとふる」に掲載し寄付を募ることとしている。
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